子供が学校で『スイミー』の学習をしています。物語の意味を知っておきたいです。
子供のころに読んだけど、内容を忘れてしまいました。『スイミー』ってどんなお話ですか?
こんなお悩みを解決します。
この記事で分かること
- 『スイミー』の全文あらすじ
- スイミーに込められた真のメッセージとは?
- 大人が『スイミー』を読んだ感想
どうも、おみそ(@kuminasu_omiso)です。大人になってから100冊以上の絵本を読んできた絵本好き、当ブログ「くもゐなす茶房」の看板猫です♪
くもゐなす茶房のマスター・飼い主です。おみそに本のことを学んでいます!
子供のころに教科書で『スイミー』を読んだけれど、けっきょくどんなメッセージがあるのかよく分からなかった...
私もそうでしたが、年間100冊以上の読書をするようになってからこの絵本を読み返すことで真のメッセージを読み取ることができました。
そこでこの記事では、絵本の内容をほとんど覚えていない人のために『スイミー』のあらすじとテーマをまとめて解説します。
この記事を読めば、『スイミー』の要点から物語の解釈まで網羅することができますよ。
先に言ってしまうと、わたしが考える『スイミー』のテーマは「生きることの素晴らしさ」です。一般的に言われている「協力」「仲間の大切さ」は本来のテーマとは少し違うのかな、と思っています。
それでは、絵本の世界をいっしょに旅しましょう♪
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レオ=レオニ作『スイミー』という物語
『スイミー』の作品情報
作者 | 著:レオ=レオニ・訳:谷川俊太郎(たにかわ・しゅんたろう) |
ジャンル | 名作絵本 |
テーマ | 個性、生きることの素晴らしさ |
素晴らしき世界 | |
出版年 | 1969年 |
出版社 | 好学社 |
対象年齢 | 3歳~大人まで |
『スイミー』は小学校の国語教科書に40年以上掲載され、日本中で知らない人はいないと言っても過言ではない、レオ=レオニさんの名作絵本。
恐ろしくも素晴らしき世界に飛び立つ子供たちに、前に進む勇気と世界を知ることの素晴らしさを教えてくれる素敵な物語です。
こんな人におすすめ
- 「個性」について深く考えたい人
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『スイミー』作者:レオ=レオニ
スイミーの作者はアメリカで著名な芸術家であるレオ=レオニさん、訳者は、日本で超有名な詩人・谷川俊太郎さん
谷川俊太郎さんは、レオ=レオニさんの他作品でも訳を手掛けていて、まさに「最強タッグ」です。
そんな「レオ=レオニ×谷川俊太郎」のお二人について紹介しています。
作者:レオ=レオニ
【作者】レオ=レオニ
1910年オランダのアムステルダム生まれのイラストレーター・グラフィックデザイナー・絵本作家。米国でもっとも活躍した芸術家のひとり。作品に、「あおくんときいろちゃん」「フレデリック」「アレクサンダとぜんまいねずみ」など。"Tico and the Golden Wings"は、1964年に最優秀作品としてアメリカの図書館協会の指定を受けている。
ーレオ=レオニ『スイミー』より一部引用
訳者:谷川俊太郎
【訳者】谷川俊太郎
1931年東京生まれの詩人。絵本や記録映画の脚本も書いている。1952年に第1詩集「二十億光年の孤独」を刊行。「生きる」「うそ」「何か」など多数の詩を発表している。
ーレオ=レオニ『スイミー』より一部引用
国語の教科書に40年以上掲載されている物語
『スイミー』と言えば国語の教科書に載っていることで有名ですよね。
一度は読んだことがあるという方も多いのではないでしょうか。
2022年現在では、光村図書「小学2年国語(上)たんぽぽ」に掲載されていて、かれこれ40年以上教科書に載り続けています。
では、どうして『スイミー』は教科書に載り続けているのでしょうか。
わたしは、2つの理由があると考えています。
1つは、子供が主人公の「スイミー」に共感しやすいという点です。
3歳から楽しめる分かりやすい物語で、子供でも「スイミー」に共感したり、応援したり、自己投影したり...物語に入り込みやすくなっています。
2つ目は、シンプルな物語にも関わらず、深いテーマが隠されていることです。
ここがあるからこそ、大人のわたしでも「どハマり」してしまう。
スイミーは人生で大切なことを教えてくれる本当に素敵な絵本であり、物語なのです。
スイミーが教科書に載る理由
- 子供が共感しやすく、分かりやすい物語
- シンプルなのに、深いテーマが隠されている
スイミーのテーマについては後ほど解説しています!
レオ=レオニ作『スイミー』全文あらすじ
1
広い 海の どこかに、
小さな 魚の きょうだいたちが、楽しく くらしていた。
みんな 赤のに、一ぴきだけは からす貝よりも まっくろ。
およぐのは だれよりも はやかった。
名前は スイミー。
2
ある日、おそろしい まぐろが、おなかを すかせて、
すごい はやさで ミサイル みたいに つっこんできた。
一口で、まぐろは、小さな 赤い 魚たちを、一ぴきのこらず のみこんだ。
にげたのは スイミーだけ。
3
スイミーは およいだ、くらい海のそこを。
こわかった、さびしかった、
とても かなしかった。
けれど 海には、すばらしいものが いっぱいあった。
おもしろい ものを 見る たびに、スイミーは、だんだん 元気を とりもどした。
にじ色の ゼリーのような くらげ
水中ブルドーザーみたいな いせえび
見たこともない 魚たち。見えない 糸で ひっぱられている。
ドロップみたいな 岩から 生えている、こんぶやわかめの林。
うなぎ。顔を見るころには しっぽをわすれているほど長い。
そして、風にゆれる もも色のやしの木みたいな いそぎんちゃく。
4
そのとき、岩かげにスイミーは見つけた。スイミーのとそっくりの 小さな魚のきょうだいたちを。
スイミーは言った。
「出てこいよ。みんなであそぼう。おもしろいものがいっぱいだよ。」
小さな赤い魚たちは、答えた。
「だめだよ。大きな魚に食べられてしまうよ。」
「だけど、いつまでもそこにじっとしているわけにはいかないよ。なんとか考えなくちゃ。」
スイミーは考えた。
いろいろ考えた。
うんと考えた。
5
それから、とつぜん、スイミーはさけんだ。
「そうだ。みんないっしょにおよぐんだ。海でいちばん大きな魚のふりをして。」
スイミーは教えた。けっして はなればなれに ならないこと。みんな もちばを まもること。
みんなが、一ぴきの大きな魚みたいにおよげるようになったとき、スイミーは言った。
「ぼくが、目になろう。」
あさのつめたい水の中を、ひるのかがやく光の中を
みんなはおよぎ、大きな魚をおい出した。
光村図書『小学2年国語(上)』「スイミー」
【意味解釈】スイミーに込められた真のメッセージ
『スイミー』に込められた、本当のメッセージとその意味について考察しています。
物語にはいろんな解釈があっていいと思います。これから書くことは、おみその「個人的な解釈」です。決して、他の解釈を否定するものではありません。「こんな考え方の人もいるんだなぁ」と気軽にお楽しみください。
スイミーのテーマは「協力」!?
久々に『スイミー』を読み返すことになりまず思い浮かんだ場面は、赤い魚の仲間たちと協力して大きな魚を追い出したラストシーンでした。
あさの つめたい みずの なかを
ひるの かがやく ひかりの なかを、
みんなは およぎ、
おおきな さかなを おいだした。
レオ=レオニ『スイミー』より引用
この最後の場面は、多くの人が印象に残っているシーンではないでしょうか。
仲間と協力し、大きな魚のふりをして、広い世界に出ていくスイミーとその仲間たちの「協力」や「仲間」を大切にする姿には心打たれます。
そのような「仲間との協力」も、たしかにスイミーの大切なテーマの一つです。
ですが、「仲間との協力」はあくまで「手段」であり、そこに隠された「目的」こそがスイミーの真のテーマだとわたしは考えています。
スイミーが仲間と協力した目的は、「みんなにも素晴らしい世界を知ってほしい」からです。
スイミーは大切な仲間を失い、失意の中にいました。
そんなスイミーを救い出してくれたのは、広い海に広がる、「すばらしいもの」たちでした。
********
「虹色のゼリーのようなくらげ」
「水中ブルドーザーみたいないせえび」
「見たこともない魚たち」
「ドロップみたいな岩から生えてるこんぶやわかめのはやし」
「顔を見るころにはしっぽを忘れているほど長いうなぎ」
「風に揺れる桃色のやしの木みたいないそぎんちゃく」
********
『スイミー』でレオ=レオニが最もページを割いて描いているのが、この素晴らしい海の世界です。
そんな「素晴らしい海の世界」を仲間たちにも知ってほしくて、スイミーは仲間に協力を促します。
「でて こいよ、みんなで あそぼう。おもしろい ものが いっぱいだよ!」
「だめだよ。」ちいさな あかい さかなたちは こたえた。
「おおきな さかなに たべられて しまうよ。」
「だけど、いつまでも そこに じっと してる わけには いかないよ。 なんとか かんがえなくちゃ。」
レオ=レオニ『スイミー』より引用
どうして、「じっとしているわけにはいかない」のでしょうか。
スイミー以外の魚たちは、岩陰に隠れて生きてきました。
じっと隠れていれば、大きな魚に食べられる心配はありません。
スイミーの言うように外に出てみんなで遊ぶということは、「大きな魚に食べられてしまう」という命の危険のリスクがあります。
スイミーはそのことをいちばんよく理解しています。
スイミーは、兄弟たちを一匹残らずマグロに食べられてしまった経験があるのですから。
それでもスイミーは、じっと隠れて生きる小さな赤い魚の兄弟たちに言うのです。
「外に出て、みんなであそぼう!」
外に出なければ、大きな魚に食べられることはないかもしれない。
でも、美しい世界を知ることもできないよ。それで君たちは本当にしあわせなのかい?
スイミーは、仲間たちに美しい世界をみてもらい、「生きることの素晴らしさや意味」を実感してほしかったのです。
生きることの素晴らしさは「感動」であり、自分の内側と向き合うことで初めて、「自分らしさ」が見えてくる
スイミーがこれほどまでに世界の美しさに心を動かし、仲間たちと協力する行動力があることが不思議でなりませんでした。
どうして、スイミーはこんなにも純粋に「生きるってすばらしい!」「みんなも外へ行こう」と声をあげることができるのか。
それは、スイミーは「自分のことをよく分かっている」からです。
深い自己理解できていると言い換えてもいいですね。
スイミーは、大きな魚に立ち向かうために、「ぼくが目になろう!」と叫びました。
スイミーはたった一匹だけ、「黒い」という特徴をもっていたからです。
スイミーは「みんなとちがう」個性を、「仲間たちに美しい世界をみせる」ために「使い」ました。
大人になるほど、スイミーのこの行動がいかに勇敢で難しいことかが分かるのではないでしょうか。
スイミーが自分自身をよく見つめ、自己実現のために自分の個性を利用できる「人格者」であることが、『スイミー』という物語をより魅力的なものにしているように思います。
スイミーが自分の個性を生かす姿に、前に進む勇気と大きな感動をもらうことができるのが『スイミー』の素晴らしさなのですね。
自分の個性を「誰かのために」生かし、人生を楽しむスイミーのように生きたいと思いました。
スイミーは「生きることには意味がある」と実感し、その素晴らしさを仲間にも知ってもらうために自分の「個性」を生かした、とても素敵で勇敢な魚だったのですね。
おみそ的テーマ解釈
この世界には、生きる意味がある。それは感動すること。その感動を誰かと味わうこと。そして自分を理解し、認めることができたなら、そこに「個性」が宿る。その個性を生かして役割を果たすことで、「自分らしさ」が生まれる。
【感想】大人になって改めて大真面目に『スイミー』を読んでみた
子供のころの感覚ふり返りながら読み返せるのも、絵本の魅力の一つですね♪
【感想】大人が大真面目に『スイミー』を読んでみた感想
【感想➀:美しい絵】スイミーが旅する海の世界
絵本の中で最もたくさんのページを使って描かれているのが、スイミーと「すばらしいもの」たちとの出会いの場面です。
このシーンは、残念なことに教科書では見開き1ページになってしまっています。
ですが、絵本ではふんだんにページを使い、レオ=レオニがスイミーの感動を絵と言葉にしたためています。
「にじいろのゼリーのような」など、秀逸な比喩表現もさることながら、スイミーの感動をストレートに伝えているレオ=レオニさんの絵がとっても素敵です。
大人になるほど、言葉で理解しようとする場面が増えていきます。
ですが、「絵本」というだけあり、やはり絵本の主役は「絵」
スイミーが「すばらしいもの」たちをみたときの感動をイラストで表現しているイラストが、個人的には一番好きなところです。
【感想②:大人の心に響くテーマ】生きることの怖さと意味と素晴らしさ
大切な仲間たちを失い、暗い海の底をただ漂っているスイミー
彼(彼女?)はきっと、
「生きているとなんて恐ろしいことがあるんだ...」
そう思ったのではないでしょうか。
そんなスイミーの心情と、先の見えない人生を歩む自分とが重なりました。
大人になるほど、「失いたくないもの」が増えていきます。
生きることの恐怖とは、すなわち「大切なものを失うかもしれない」という恐れだと思います。
生きていれば必ず喪失を経験します。
それは極論で言えば、「身近な人の死」ですし、小さなことであれば「お気に入りのカフェが閉店すること」だって喪失です。
失ってもなお、人は生きていかなければなりません。
失ったことに何らかの意味付けをして、みんなが必死に生きているのが社会だと思っています。
人生は喪失の連続ですが、喪失だけが人生ではありません。
ふとした瞬間に体験する、思いがけない感動ー
思い返すとわたしにも、そんな瞬間がありました。
失うことに慣れないように、感動もまた慣れることはないのだと思います。
だからこそ、喪失しても、それでも前に進み続けたいと、『スイミー』を読んで感じました。
失ってもなお、進むことを、生きることをやめなかったからこそ、スイミーは世界の美しさを知り、大きな感動を味わうことができました。
大人になるほど、失うものが増えていきます。
それでも、スイミーのように進み続けた先に、あきらめてしまった魚では決して味わうことのできない「感動」がある。
そう思えば、生きることがとても素晴らしいことだと、実感できるように思います。
名言集:『スイミー』の素敵な言葉たち
『スイミー』には、大人が勇気をもらえる素敵な名言がちりばめられています。
絵も合わせてみると、物語をより深く味わうことができます。
絵本が手元にある方は、ページをめくりながらお楽しみください。
みんな あかいのに、一ぴきだけは からすがいよりも まっくろ、
でも およぐのは だれよりも はやかった。
なまえは スイミー。
レオ=レオニ『スイミー』より引用
この後、スイミーは自分の個性を生かしていきます
スイミーはおよいだ、くらい うみの そこを。
こわかった、さびしかった、とても かなしかった。
レオ=レオニ『スイミー』より引用
大切なものをすべて失ったスイミーの心の叫びです
「でて こいよ、みんなで あそぼう。
おもしろい ものが いっぱいだよ!」
レオ=レオニ『スイミー』より引用
失う怖さよりも、世界のすばらしさを知ったときの感動を、みんなにも知ってほしかったのですね
「ぼくが、めに なろう。」
レオ=レオニ『スイミー』より引用
スイミーが自分の個性を生かす、個人的No.1の名言です♪
分かりやすく本質を伝える言葉も『スイミー』の魅力の一つです。
『スイミー』のレビューをチェック
読む手にこれほどまでに感動と勇気を与えてくれる絵本を1500円で手に入れることができるなんて、いい時代に生まれたなぁとつくづく思います。
お子さんがいる方もそうでない方も、感動をかみしめることができるのが、絵本『スイミー』のよさですね。
『スイミー』は教科書にも載っていますが、ページの都合上、スイミーが「すばらしいもの」と出会うシーンが大幅カットされています。『スイミー』の本当の魅力を味わうことができるのは、絵本だけです♪
まとめ:【あらすじ&考察&感想】『スイミー』が本当のに伝えたいメッセージとは?
レオ=レオニさんの名作絵本『スイミー』のあらすじや感想、テーマの意味について解説しました。
この記事のまとめです。
まとめ
- レオ=レオニ作『スイミー』は40年以上教科書に載っている名作絵本
- 『スイミー』のテーマは「生きることの意味」「個性」
- 大人こそ楽しめるテーマ性と絵の美しさが魅力!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
この記事が少しでもあなたのお役に立てれば幸いです。
それではまたお会いしましょう♪
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おみそのつぶやき:『スイミー』の次に読みたい絵本
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