ブックレビュー 大人向け絵本

【あらすじ&結末解釈&感想】絵本『100万回生きたねこ』を哲学する

※本サイトで紹介している商品・サービス等の外部リンクには、アフィリエイト広告が含まれる場合があります。

『100万回生きたねこ』のあらすじや感想が知りたいなぁ

悩んでいる人(飼い主)

『100万回生きたねこ』の結末の解釈やテーマが気になります

悩んでいる人(飼い主)

こんなお悩みを解決します。

この記事で分かること

  • 『100万回生きた猫』あらすじ
  • 『100万回生きた猫』結末解釈を哲学!
  • 『100万回生きた猫』感想
おみそ

どうも、おみそ(@kuminasu_omiso)です。大人になってから100冊以上の絵本を読んできた、当ブログ「くもゐなす茶房」の看板猫です♪

くもゐなす茶房のマスター・飼い主です。おみそに本のことを学んでいます!

飼い主

「死ぬのが怖い」

もし、永遠の命があったら

もし、自由に輪廻転生できたら

誰もが一度は感じたことがある感情ではないでしょうか。

ここに、何度死んでも生き返ることがきるねこがいました。

それが『100万回生きたねこ』です。

この記事では、生きる意味を問う大人のための絵本『100万回生きたねこ』(作・絵:佐野洋子)のあらすじや感想、結末解釈をお届けします。

1977年に発売されて以降、不朽の名作となり世紀近く読み継がれるワケに迫ります。

大人が超本気で絵本を解説します!

おみそ

絵本の世界をいっしょに旅しましょう♪

世界で一冊だけの絵本をお子さんにプレゼントしませんか?

1歳の誕生日プレゼントって何にすればいいんだろう...

大きくなってからも楽しめるのもがいいな

  • 子供の1歳の誕生日に一生のこるプレゼントをしたい
  • 1歳の誕生日を迎える友人の子供にプレゼントをしたい

そんな方におすすめなのが「1歳誕生日記念に贈るオリジナル絵本『ストリア』」です♪

  • 1歳のメモリアルに一生物のプレゼントができる
  • お子さんが大人になってから、読み返すことができる
  • 1歳のときのご両親の気持ちを大きくなったお子さんに届けることができる

初めての誕生日に思い出をプレゼントしよう

おみそ

LINEのヒアリングシートをもとに、スタッフが心を込めて作ってくれます♪

絵本『100万回生きたねこ』あらすじ【結末ネタバレ】

『100万回生きたねこ』のあらすじを書いていることが分かるよう、画像を貼りました。
『100万回生きたねこ』 あらすじ

『100万回生きたねこ』の作品内容を解説しています。

おみそ

大人になってから大好きになって、何年も読み続けている絵本です♪

『100万回生きたねこ』について

作者佐野洋子(さのようこ)
ジャンル大人の絵本
テーマ生きる意味、永遠の愛、死生観
泣ける絵本
出版年1977年
出版社講談社
対象年齢5歳~大人まで
『100万回生きたねこ』作品内容

こんな絵本!

  • 累計発行部数235万部を超える超ロングセラー
  • 大切な人にプレゼントしたい絵本
  • 本当の幸せとは何か?大人が泣けて哲学したくなる絵本

ちなみに、作者・佐野洋子さんの夫・谷川俊太郎さんらが書いた短編小説や詩をまとめた『100万分の1回のねこ』も発売されています。

『100万回生きたねこ』あらすじ

『100万回生きたねこ』あらすじ

100万回も死んで、100万回も生きたねこがいました。

100万人がその立派なとらねこを愛し、ねこが死ぬととても悲しみました。

ねこは、一回も泣きませんでした。

あるとき、ねこは野良猫になりました。

100万1回目の人生で、はじめて誰の猫にもなりませんでした。

100万回も生きた立派なとらねこはとても珍しく、メスねこからモテモテで、みんなからちやほやされました。

一匹の白いねこを除いて...

誰も愛せなかったねこが愛を知る、泣ける絵本の金字塔!

『100万回生きたねこ』結末までのネタバレあらすじ

『100万回生きたねこ』の結末までのあらすじを紹介しています。

絵本を楽しんでいただけるよう、絵や原文はなるべく使わずに解説します。

おみそ

お楽しみいただけたら幸いです♪

100万回生きたねこ

100万回も死んで、100万回も生きたねこがいました。

ねこはいつも"誰かの猫"でした。

彼は立派なとらねこでしたので、誰からもたいそう愛されました。

あるときは王様、あるときは船乗り、あるときはサーカスの手品つかい...

そしてまたあるときは、小さな女の子のねこでした。

100万人がそのねこを愛し、ねこが死ぬととても悲しみ、みんな涙を流して土に埋めるのでした。

ですが、ねこは一回も泣きませんでした。

ねこはみんなのことが大きらいだったからです。

100万1回目のねこ

100万1回目、ねこは誰の猫にもなりませんでした。

初めて飼い主のいない、自由な野良猫になることができたのです。

ねこは自分が大好きでした。

ねこは"100万回も死んだ、たいへん立派なとら猫"でしたので、誰もが寄ってくる人気者になりました。めす猫はみんな妻になりたがりました。

とても気分がよくなったねこは、みんなにたくさん自慢話をしました。

自己愛の強いねこでしたから。

白いねこ

しかし、たった一匹だけ、とらねこに見向きもしない、白く美しいねこがいました。

ねこがどんな自慢話をしても、得意のバク転を見せても、「そう。」としか言いません。

他のめす猫とちがい、白いねこはいつもそっけない態度なのです。

自己愛の強いねこは腹を立て、何日も何日も白いねこのもとへ行っては自慢をしていました。

「おれは、100万回も死んだんだ。王様の猫だったんだぜ。」

「サーカスもやった。この通り宙返りもできるすごいだろ?」

「おれは、100万回も...」

ねこは、いつものように言いかけましたが、言葉を止めました。

「そばに いても いいかい。」

白いねこは、「ええ。」と言いました。

ねこは白いねこのそばに居続けました。

長い時間がすぎ、白いねこは子猫を何匹も産みました。

ねこは、白いねこと たくさんの 子ねこを、 自分よりも すきなくらいでした。

佐野洋子『100万回生きたねこ』

その子猫も大きくなって旅立ち、白いねこはおばあさんになっていました。

ねこは、白いねこと いっしょに、 いつまでも いたいと 思いました。

佐野洋子『100万回生きたねこ』

最後の選択【結末ネタバレ】

ところがある日、白いねこは、ねこのとなりで静かに息を引き取りました。

ねこは、来る日も来る日も泣きました。

100万回も涙を流しました。

そしてねこは、泣き止みました。

ねこはもう、息をしていませんでした。

ねこは もう、けっして 生きかえりませんでした。

佐野洋子『100万回生きたねこ』

※佐野洋子『100万回生きたねこ』(講談社)をもとに作成

おみそ

絵と原文は実際の絵本でお楽しみください

絵本『100万回生きたねこ』を哲学する|結末の解釈

佐野洋子『100万回生きたねこ』 結末解釈

 わたしは、絵本のすばらしさは余白にあると思っています。

『100万回生きたねこ』であれば、その"余白"は最後の一行にあります。

ねこは もう、けっして 生きかえりませんでした。

佐野洋子『100万回生きたねこ』

ねこはなぜ生き返らなかったのでしょうか?

この結末の解釈を哲学します。

今回は、ねこが「自分で"生き返ることをしない"選択をした」という前提のもと解釈をしています。

これが正解というものはありませんから、一個人の解釈としてお楽しみください。

結末解釈➀:白ねことの愛を永遠にしたかったから

何度でも転生できる魂をもったねこ。

それも、記憶を引き継ぐことができる。

そんな、全生物がうらやむ力をもったねこですが、白ねことの一生を最後に、生き返ることをやめました。

絵本を閉じて裏表紙を見てみると、そこには絵が描かれています。

白ねこと肩を寄せ合い、同じ方向を見つめるねこの後ろ姿です。

世界的名著『星の王子さま』の作者・サン=テグジュペリはこんな言葉を残しています。

愛はお互いに見つめ合うことではなく、共に同じ方向を見つめることである

―サン=テグジュペリ

「いつまでも同じ方向を向いて、白ねことの愛を永遠にしたい。」

「おれはもう、生きかえる必要はない。いつまでも白ねこといっしょ(死ん)でいたいんだ。」

裏表紙から、ねこの声が聞こえてくる気がします。

結末解釈②:白いねこがいない世界で生きる意味などないと思ったから

①の解釈を少しネガティブにすると「白いねこがいない世界で生きる意味などない」という理由になりますね。

もし白いねこの魂が永遠のものであったなら、ねこはまた転生して、何度でも彼女を愛したことでしょう。

ですが、そんな特別な永遠を持ち合わせていたのはねこだけでした。

たとえ生き返ったとしても、その世界にはもう、自分より大切な存在はいないのです。

「おれを愛してくれた、おれが愛した白いねこがいない世界に生き返る意味なんてない。」

100万人から愛され、たくさんの野良猫に愛され、何より、最愛の白いねこに愛され、白いねこを愛した記憶を最後にして消えるのが一番いい、と思ったのかもしれません。

人間は、みんなに愛されているうちに消えるのが一番だ

川端康成
おみそ

ねこも同じですね

結末解釈③:もう誰も悲しませたくないから

絵本の中にこんな一文があります。

ねこは 100万回も なきました。

佐野洋子『100万回生きたねこ』p28

「ねこが100万回泣いた」という事実にはとても大きな意味があります。

なぜなら、ねこはそれまで、100万人の人に"泣かれて"きたからです。

100万人の 人が、 そのねこをかわいがり、 100万人の人が、 そのねこが しんだとき なきました。

佐野洋子『100万回生きたねこ』p2

100万人にとって、ねこは愛する存在でした。

大切な猫が死んでしまったとき、みなが悲しみました

ですが、ねこはみながきらいで一度も泣いていませんでした。

同情すらしていなかったと思います。

ねこは"愛"を知らなかったからです。

ですが、猫は100万1回目の生で白いねこを愛し、自分より大切な存在ができました。

初めて"愛"を知ったのです。

そして、100万回泣くことで、それまでに泣いてくれた100万人の飼い主の気持ちを理解することができた。

「自分より大切な存在の死が悲しすぎる。おれはもう誰も悲しませたくない。」

ねこはそう思ったのかもしれません。

結末解釈④:愛することを知り、生まれ変わる必要がなくなったから

白いねこと出会うまでの100万回の人生と、白いねことの一回の人生との違いはひとつです。

誰かに愛されたか、自分が愛したか。

自分以外の誰かを愛することにどれほど幸せなことなのか、100万1回目の生でねこは気付くことができました。

誰かを愛することが生きる意味であり、自分より大切な存在ができたねこはそれを果たしました。

もう生まれ変わる必要はなくなったのです。

愛されることは幸福ではない。愛することこそ幸福だ。

ヘルマン・ヘッセ

100万回の愛された生を経て、100万1回目の生で初めて、ねこは愛することの幸福を知りました。

ねこはずっと、愛することが出来る誰かを探し続けていたのかもしれませんね。

『100万回生きたねこ』「100万回愛を探し続けたねこ」でもあるのです。

『100万回生きたねこ』の結末を哲学する意味

以上がねこがなぜ生き返らなかった結末の解釈でした。

自分の考えと近い解釈はありましたか。

おみそ

こんな解釈もあるよ!という方は、記事下のコメント欄に書いてもらえたらうれしいです♪

ところで、『100万回生きたねこ』の結末を哲学することには、どんな意味があるのでしょうか。

わたしにとって、『100万回生きたねこ』の結末について考察するのは、「人生という旅の途中で自分にとっての"大切"を確認する」という意味があります。

人生のときどきで解釈が変わることがあります。

実際、今回紹介した4つの解釈は、人生のときどきで『100万回生きたねこ』を読み返す中で、思い浮かんだものです。

わたしはこの絵本を読み返すたびに、「今、自分にとっての"白いねこ"はなんだろう」と考えます。

ねこがいつまでも白いねこのそばにいたように、わたしも自分にとっての"白いねこ"のために時間を使いたい。

大切を大切にできているか、大切を大切にするために今何ができるか、を自分自身に問うために、わたしはこれからも『100万回生きたねこ』を読み続けます。

『100万回生きたねこ』のレビューをチェックする

おみそ

「100万回生きたねこ」に関連するこんな本もあります

絵本『100万回生きたねこ』感想:テーマと教訓、読み聞かせ、おすすめポイントなど

『100万回生きたねこ』の感想が書かれていると分かるよう、画像を貼りました。
『100万回生きたねこ』 感想

『100万回生きたねこ』を読んだ感想を紹介しています。

一言で感想をいうと、「こんなにも大人が感動し、考えされられる絵本は他にない!」ですね。

教訓やおすすめポイントなども解説しています。

おみそ

引き続きお楽しみください♪

【感想➀】テーマと教訓

わたしが考える『100万回生きたねこ』のテーマがこちらです。

テーマ『100万回生きたねこ』

  • 永遠の命よりも大切なもの
  • 死生観
  • 永遠の愛

それぞれのテーマと教訓について解説します。

永遠の命より大切なもの

教訓

100万回生き返ることができる永遠の命より、白いねこと過ごしたたった一度の一生、それにこそ価値がある

より一般的な言葉に直すとこのようになります。

教訓

永遠の命より、大切な人と過ごす人生の方が幸福である

自分の大切なものを愛し続けられる人生は永遠の命よりも価値があるように思います。

死生観

教訓

どんな特別な"生"より、自分より愛した人がいる人生における"死"にこそ、人間の生まれた意味がある

終わりがあるからこそ、人は誰かを大切にできるのですね。

地位や名声を得ること以上に、誰かを愛することに意味があるということを、ねこの100万1回の生涯が物語っています。

永遠の愛

教訓

人はいつか死ぬ。だからこそ、愛は永遠なのだ。

一見矛盾しているようですが、人生に終わりがあるからこそ、愛に終わりはないのではないでしょうか。

たかだか数十年の限られた時間を誰かのために使う。そこから愛が育まれ、その愛は死をもって永遠となるのです。

ちなみに、『100万回生きたねこ』のテーマと非常に近いメッセージ性のある小説『世界から猫が消えたなら』という作品があります。

こちらは別の記事「小説『世界から猫が消えたなら』あらすじ・感想」で詳しく解説しています。

【感想②】大切な人に贈りたい一冊

読み終わって思ったのは、「ねこが愛を知ってから死ぬことができてよかった」という感想です。

もちろん、二匹の一生が無常であり、ねこがいなくなってしまうことに対する悲しさはあります。

ですがそれ以上に、ねこが自分より大切な人との生きることできてよかった、そう思いました。

『100万回生きたねこ』は大人に響く深いテーマ性のある絵本です。

そのため、自分が大切だと思う人に贈るのに最適です。

家族や友人、恋人の誕生日や記念日に『100万回生きたねこ』をプレゼントしたいと思いました。

【おすすめ・読み聞かせのポイント】大人になってから読み返そう!

おすすめポイント

『100万回生きたねこ』の一番のおすすめポイントは、何度もいくつになっても読み返すことができることです。

読み手がどんな人生を送ってきたのかによって、バッドエンドにもハッピーエンドにもなる絵本です。

子供が読むと、「ねこが死んでしまって悲しい」と思うでしょうし、大人になって、大切な存在ができてから読み返すと「ねこは死ぬことができてよかった」と考えるかもしれません。

『100万回生きたねこ』は人生の時々で読み返すと新たな発見があります。

だからこそ半世紀近く売れ続けているのですね。

読み聞かせのポイント

思算に読み聞かせしたいという方のために、「読み聞かせのポイント」を書きますね。

  • リズムを変えて読む
  • 絵に注目して読む
  • 最後に質問する

例えば、最初のページはゆっくり、3~15ページあたりはテンポよく、16ページは少し声色を変え、24ページからは再びじっくり読むといった具合です。

似たような話を繰り返すため中盤まではリズム感を楽しみ、後半に白いねこと出会ってからはじっくり読むのがおすすめです。

そして、読み終えた後「どうしてねこは生き返らなかったんだろうね?」と質問してみるのもいいかもしれません。(年齢的には小学生以上ですかね...)

また、絵に注目してねこの表情の変化を見るのも面白いです。

「19ページ→25ページ→29ページ」の順で見ると、ねこの気持ちの変化がよく分かります。

おみそ

読み聞かせのご参考になればうれしいです♪

"猫"が登場!心温まる小説

まとめ:【あらすじ&感想】絵本『100万回生きたねこ』結末を哲学する

記事のまとめと分かるよう、愛きゃち画像を貼っています。
『100万回生きたねこ』 まとめ

佐野洋子作・絵『100万回生きたねこ』のあらすじや結末解釈、感想をお届けしました。

この記事のまとめです。

まとめ

  • 『100万回生きたねこ』は大人が泣ける不朽の名作
  • 最後の一文を哲学するのが醍醐味!
  • テーマは「永遠の愛」「生きる意味」「死生観」
  • 大切な人に贈りたい一冊

『100万回生きたねこ』のストーリーは大人の心に深く響きます。

それはきっと、自分より大切な人がいるからではないでしょうか。

この絵本は自分の大切な人に贈るのといいかもしれませんね。

大切な人に愛を伝えるきっかけになると思いますよ。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

この記事が少しでもあなたのお役に立てれば幸いです。

おみそ

それではまたお会いしましょう♪

おみそのつぶやき:大人におすすめの絵本

おみそ

絵本大好きねこのおみそが厳選した大人のための絵本を紹介します♪

おすすめ絵本

2019年MOE絵本屋さん大賞1位!
おみそ

チェックしてね♪

スポンサーリンク

  • この記事を書いた人

おみそ

「読書で、人生に彩りを。」くもゐなす茶房では、ブログを読んだ人が月1冊以上の読書を楽しんでもらえるよう、本当に面白いと思った本だけを紹介しています。記事を書いているのは、年間100冊以上の読書を楽しむ、くもゐなす茶房の看板猫|”おみそ”です。おみそと飼い主と一緒に喫茶店でお話している感覚で楽しんでもらえたらうれしいです✨ 詳しいプロフィールはこちら

-ブックレビュー, 大人向け絵本
-, , , ,